経済成長の減速が鮮明になっている中国で、なぜか不動産市況ばかり過熱が続いている。中国国家統計局がまとめた9月の新築住宅価格で、主要70都市のうち63都市までが前月比で上昇。低下したのは6都市、横ばいは1都市だった。
上海市や浙江省杭州市、広東省深セン市など大都市での上昇が目立ったが、なかには安徽省合肥市や福建省アモイ市といった地方都市は、上昇率が前年同月比で47%近い異常な高騰ぶりだった。
上海市郊外で4年前に120平方メートルのマンションを住宅ローンを組んで購入した浙江省出身の知人は、「今年に入って不動産市況が回復したのを見計らって8月に売却したら、残高を全部支払ってなお大金が転がり込んできた」と高笑いした。購入価格の約3・8倍で売れたらしい。この知人は売却益を頭金に再びローンを組み、上海市内の一等地で280平方メートルの高級マンションを購入した。
何年も前から、「中国の不動産バブルはいずれ崩壊する」と指摘され続けながら、市況がやや悪化する場面はあっても大幅な下落とはならず、再び上昇に転じる不思議なサイクルを描いてきた。
上海の大学でマクロ経済を教えている中国人の教授は、「中国の都市部で不動産バブルが崩壊しないのは、大きく2つの理由がある」と解説してくれた。