この技術を使うと、まずヒトの分裂する培養細胞では、遺伝子の挿入効率が約10倍高くなった。次いで、マウスの生体の脳、筋肉、心臓などの組織、器官で、狙った通りに遺伝子が挿入できた。さらに、この技術を応用して網膜の視細胞が変性する「網膜色素変性症」を起こすラットの視覚障害を一部回復することにも成功した。
医療に応用する可能性が示されたわけで、研究グループは「モデル動物の脳神経を直接、遺伝子改変することで思考力など脳機能の解明や脳が関与する疾患の解明に結び付けたい」とする。さらに、将来的には、ヒトの難治性遺伝病についても、遺伝子を直接修復する医療への応用が期待できる、という。