「俺の女になったら給料を上げてやる」「エッチしよー」。男性管理職から社内や無料通信アプリLINE(ライン)で9カ月にわたってセクハラを受け続けた女性社員は、勤務先の会社と管理職に慰謝料など計約770万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁に起こした。会社側が和解に応じる一方、管理職側は徹底抗戦。だが、主張はことごとく退けられ、9月に約57万円の支払いを命じられた。判決は、セクハラの大半が身体への接触ではなく言葉によるものだった点を考慮して賠償額を抑えたが、セクハラ訴訟の賠償額は高額化する傾向にあり、企業が1千万円超の和解額を支払った事例もある。管理職からは「職場の雰囲気を明るくするためだった」との〝トンデモ釈明〟も飛び出したが、もはや冗談では済まされないのが現実だ。
フラれた腹いせに「あほ!」「だぼ!」
原告の女性は20代後半。平成26年8月、某会社に新入社員として入社し、九州支店に配属された。妻子を神戸に残して単身赴任していた部長からセクハラを受けるようになったのは、そのわずか2週間後だった。
判決などによると、9月8日、女性のLINEに「付き合って」「女として好き」とメッセージが届いたのが最初。その後もしつこく交際を迫られ、「夜景見に行こう」などとデートに誘われ続けた。
女性は10月22日、LINEで「好きな人がいます」と恋愛感情がないことを伝えたが、部長は「ばか!」「あほ!」「だぼ!」「ばか!」と連続返信。セクハラは以降、地位利用とも受け取れる内容にエスカレートしていった。