バンダイナムコの本社でゲームを体験させてもらったうえ、開発に携わった同社の玉置絢(じゅん)氏に話を聞いた。
もともとは、新しい技術を検証するための社内コンペに応募したのがきっかけだったという。「いくつかアイデアがある中、『どうせ通らないだろう』と思って、キャラクターと間近で会話するものを考えた」。通常、VRといえば、広大な空間を冒険するようなものを考えがちだが、「VRでは服の縫い目まで見えるリアルさがあり、人が近くにいる方がもっとすごい、と思った」と振り返る。
試作品での会話相手は、同社の格闘ゲーム「鉄拳」に登場する男の武闘家だった。しかし、これで試してみると「怖すぎた」。議論の末、会話相手はかわいい女子高生になったという。この急激な方向転換ができるところが、老舗ゲーム会社の発想の豊かさだろうか。
記者もPSVRは何度か体験済みだ。開発中のソニーのゲームでは、スキンヘッドの白人に密室で英語で問い詰められるという体験をして、リアルな恐怖を感じた。今回の密室はそれとは真逆。「勉強だけじゃ味気ないから、先生と話もしたいな」と言われ、照れてしまった。