仙台市とフィンランドの福祉産業で連携12年、総事業効果60億円

 仙台市とフィンランド貿易局が共同で「仙台フィンランド健康福祉センタープロジェクト」をスタートさせて、今年で12年目を迎えた。立ち上げ当初から掲げる健康福祉分野の産業振興を目指した連携に加え、食品やITなど幅広い分野でのビジネス支援にも力を入れている。

 福祉大国として名高いフィンランドと仙台市の連携が始まったのは平成14年。両者が協力合意書に署名してプロジェクトが始まり、17年に特別養護老人ホーム「せんだんの館」と研究や開発支援の拠点「研究開発館」(現・事業創成国際館)からなる「仙台フィンランド健康センター」が同市青葉区水の森にオープンした。

 ◆仕組みづくり

 仕組みとしては、せんだんの館で利用者やケアワーカー、家族らから聞いた現場の声を、健康福祉機器やサービスの開発に生かすほか、地元企業とフィンランド企業とのマッチングなどもしている。また、企業や大学とも連携し、事業化を進めている。

 市産業振興事業団の吉村洋理事は「福祉の領域は狭いように見えるが、情報技術、運動、家具、空調、製薬、教育など多岐にわたる。ビジネスチャンスをいかに作り、地元の企業の活動に生かしていけるか、サポートする仕組みづくりをしている」と話す。

 同事業団によると、プロジェクトに関わる会員企業は昨年3月には200社に増加。10年間で仙台とフィンランドの企業・団体の提携事例は45件に上った。さらに、仙台の企業のビジネス支援により事業化したのは31件、総事業効果は60億円、新規雇用は250人に上るという。

 ◆食品やITなど

 仙台放送が進める高齢者施設向けテレビゲームの開発や、フィンランドの福祉製品の販売や共同開発など、当初は健康福祉分野に限定していたが、連携から10年が経過して、食品やITなど支援の分野の幅が広がってきた。アレルギー対応食品の製造会社「ヘルシーハット」(宮城野区)は、同事業団の橋渡しでフィンランド製アレルギーフリーチョコレートの販売を開始した。

 吉村理事は「10年前は日本でフィンランドの文化はほとんど知られていなかったが、徐々に浸透し始めている。フィンランドの企業の日本進出や健康福祉だけでないウェルビーイング(健康なライフスタイル)分野にも拡大していきたい」と力を込める。(大渡美咲)

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