阿比留瑠比の極言御免

「土人」は「差別」なのか

 鶴保庸介沖縄・北方担当相が8日、沖縄県の米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事反対派に対し、大阪府警の機動隊員が「土人」と発言したことについて、「差別であるとは断定できない」と述べたことが尾を引いている。鶴保氏は「人権問題であるかどうかの問題で、一方的に決め付けるのは非常に危険だ」と指摘したが、野党やマスメディアは一斉に反発した。

 例えば民進党の蓮舫代表は、9日の党参院議員総会でこう批判した。

 「問題ではない、差別ではないって、どういうことなんでしょうか。担当大臣がこんな考え方で、沖縄に向き合うことができるんでしょうか」

 この問題について16日付の朝刊各紙では、日経新聞1面コラムと産経新聞の作家の曽野綾子氏のコラムが、対照的な見方で取り上げていた。

 日経コラムは「そんな言葉を繰り出した『心』が見えて悲しい」と書いた上で、こう断じていた。

 「もちろん活動家が浴びせる罵声だって相当なものではあろう。しかし、だからといって『土人』は許されない」

 一方、曽野氏のコラムは次のように正反対の見解を示している。

 「私は父のことを『東京土人』とか、『東京原住民』とかよく書いている。私を含めてすべての人は、どこかの土人、原住民なのだが、それでどこが悪いのだろう。『沖縄の土人』というのは、蔑称だと思う蓮舫氏の方こそ、差別感の持ち主だと思われる」

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