米大統領にトランプ氏

首相、TPPで米牽制「中国主導RCEPに軸足」

 安倍晋三首相は15日の参院環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)特別委員会で、トランプ氏の米大統領就任でTPPの発効手続きが進まない場合、「軸足は(日中韓印など16カ国が交渉中の)東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に移る」と懸念を示した。

 首相は「RCEPは米国が入っておらず、国内総生産(GDP)最大の国は中国だ」と述べ、地域の通商体制が米国を外して中国主導となりかねないとして、米国を牽制(けんせい)した。

 RCEPでTPPほどの高水準のルール設定ができるか疑問を呈し「日米が主導したTPPがスタンダードとなり、RCEPやアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に進むのが望ましい」と強調。「米国にもTPPを批准してほしいと強く思っている」と述べた。

 首相は17日にトランプ氏と会談して理解を求めるほか、その後に開くTPP参加国による首脳会合で、各国で国内手続きを進める方針で一致したい考えを示した。その上で「日本が今ここで批准できなければ、なんとか命脈を保っているTPPは終わりだ。米国でも『将来(批准もありうる)』ということにすらならない」と述べ、TPP承認案と関連法案の今国会での成立に重ねて意欲を示した。

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