消費者側「分かりにくい」vs事業者側「コンプラ守れない」
今回の原料原産国表示の義務付けは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で外国産の農産物や食品の輸入増加が見込まれる中、産地表示の厳格化で消費者の不安解消が狙いになっている。消費者には商品選びの大事な指標となるだけに、検討会では不安解消と矛盾しかねない例外表示の在り方に議論が集中した。
「消費者が求めているのはあくまで国別表示だ」。9月12日の会議では、ある委員がこう強調し、例外表示に反対の立場をとった。最も分かりにくい「輸入または国産」の表示には、消費者団体から「これでは全世界だろうというイメージしか出てこない」と苦言が漏れた。
最終回となった11月2日の会議も、議論の中心は、例外表示の是非をめぐるものだった。
「原産国を『または』でつなぐのは判断しづらい表示だ」。消費者側の一部委員は、過去に中国産冷凍ギョーザから殺虫剤が検出された事件などを念頭に、「消費者には『中国産』へのアレルギーが根強くある」と主張。例外表示があると、望まない国の原料が入った加工食品を買う可能性があると指摘した。
小売店側からも「『輸入』と書くと、中国産が入っていると分かったときに『それを隠すために輸入と表示しているのか』と批判される」と懸念が示された。
これに対し、事業者側の委員は「(またはでつなぐ)可能性表示がないとコンプライアンスが守れない。最も誠実に対応できる表示だ」と反論。