東京都渋谷区が、同性カップルを夫婦と同等のパートナーとして公に認める証明書の交付を始めて11月5日で1年。性的少数者「LGBT」向けに対応した商品やサービスが広がっている。潜在的なニーズを掘り起こせば、顧客を増やせるチャンスになるからだ。とりわけ、結婚式場を備えたホテルや金融業界で活発化。一方、LGBTが働きやすい職場づくりを進める企業も出てきた。(栗井裕美子)
同性カップルのブライダルフェア
神戸市灘区の結婚式場「ザ・ヒルサイド神戸」で9月、白いドレスに身を包んだ花嫁姿同士の女性カップルが結婚式をあげた。式場を運営するバリューマネジメント(大阪市北区)によると当初、2人は記念写真の撮影だけで済ませようとしていたが、同性カップル向けの挙式プログラムも受け入れていると知り、申し込みがあったという。
同社は、式の打合せをほかの客と会いにくい平日夜に行えるようにしたり、個室を準備したりして、プライバシーに配慮。「一組一組と向き合って唯一無二」(同社)になる式典を心掛けているという。
近年、同性カップルの利用が目立ってきたといい、11月にも1組が同じ会場で式を挙げた。
ニューオーサカホテル心斎橋(大阪市中央区)は今年2月、同性カップル向けのブライダルフェアを初めて実施した。また、平成18年、日本企業として初めて「国際ゲイ・レズビアン旅行業協会」に加盟したJR西日本グループのグランヴィア京都(京都市下京区)では、26年からLGBTのカップルを想定した婚礼・宿泊パック(77万7千円)を取り扱っており、昨年は3組が利用した。同社の担当、池内志帆さんは「LGBTに限らず、客の細かいニーズに気づくことができるようになり、サービスのレベルが上がった」と話す。