主張

GDP2.2%増 不確実性に耐える改革を

 7〜9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で2・2%増だった。3四半期連続のプラス成長であり、この数字自体は悪くない。

 ただし、その中身をみると、景気回復のカギを握る個人消費や企業の設備投資が低調なままである。国内需要の拡大に向けて官民双方が取り組みを強めるべきは論をまたない。

 その上で冷静に見極めたいのが海外経済の動向である。英国の欧州連合(EU)離脱問題や新興国の景気減速は一時期ほど差し迫ってはいないが、それを上回りかねない米国の不確実性がある。

 大統領選に勝ったトランプ氏の政策は日本に大きな影響を及ぼそう。だからといって、新政権がどこまで公約を具体化するのかはっきりしない段階で、むやみに浮足だっても仕方あるまい。

 日本がなすべきは、米経済の変化にも対処できるよう、生産性向上に資する構造改革で潜在成長力を高め、国内の経済基盤の強化を確実に進めることである。

 スマートフォン用部品のアジア向け輸出が伸びたほか、熊本地震で落ち込んだ訪日観光客の消費などが回復した。実質雇用者報酬は前年同期比3・0%増と、約20年ぶりの高い伸び率だった。

 だが、天候不順などが響いて個人消費は微増にとどまり、設備投資も横ばいである。プラス成長といっても外需の寄与で達成されたものであり、民間主導の力強い景気回復はいまだ見通せない。

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