浪速風

錦秋に思う日本人の幸せ

通勤の足取りが軽いのは、駅までの道筋の木々が色づいたからだろう。イチョウは黄色に染まり、春はピンクのアーチを描いた桜並木の葉が赤い。ほかにもケヤキは木によって橙(だいだい)色や濃い赤、黄色と異なる。このところの寒暖の繰り返しで、紅葉・黄葉が一気に進んだ。

▶スペインの哲学者で歴史家のディエス・デル・コラールは「アジアの旅-風景と文化」で、「一枝一葉ごとにそれぞれ、その隣りと調和をなした独自の色調を呈しながら、茂み全体と見事に溶けあった色彩交響曲を作りだしている」と日本の紅葉を絶賛した。さらにコラールは風光を楽しむ日本文化を高く評価している。

▶なにも深山へ紅葉狩りに出かけることはない。大阪なら大阪城公園や万博記念公園、近くの寺社でもいい。御堂筋のイチョウ並木は、都市計画論が専門だった当時の関一大阪市長が、防災のための火除(ひよけ)地として設け、名所になった。まことに錦秋は、この国に生まれた幸せを感じる。