翌日、佐川急便の男性配達員(38)ら2人が東京都荒川区町屋の組事務所に荷物を届けに訪れた。
差し出された宅配物を勝手に開ける組員B。そこに罵声を浴びせながら、組員Aが登場しモデルガンを突きつけた。
騒然とする室内。組員Bは配達員に向かって「こんな状況では帰れ」と言い放った。
目の前で突然、やくざ同士の内輪もめがはじまったなら、素人は逃げる-。そういう想定だった。
「佐川男子」。青と白のボーダー柄の制服に筋肉質な体を包み、さわやかな笑顔で荷物を運ぶ佐川急便の男性配達員は、ちまたでこう呼ばれている。女性からの人気が高く、イケメンドライバーの写真を集めた公式ファンブック「佐川男子」が出版されるなど、同社のPRにも一役買っている。
とっさに商品奪い返す 「配達員にはかないませんや」
その「佐川男子」の2人は肝っ玉が据わっていた。とっさに商品を取り返し、「逃げる途中に背中から打たれてはかなわない」と、モデルガンも取り上げて事務所から出て、走りながら110番通報した。