逗子ストーカー殺人

亡き妻の「なぜ」法廷に 自衛策は水の泡 夫「このまま終われない」

 「隠してほしいと頼んだ私の住所を、なぜ教えたの?」。亡き妻は天国でそう憤っているだろう。逗子市で平成24年11月に刺殺された三好梨絵さん=当時(33)=の夫(46)は「妻は市役所から漏れたとは夢にも思わないまま亡くなった。このままでは終われない。妻に代わって、法廷で市の責任を問いたい」と静かに話す。

 人と話すのが大好きで、雑誌のライターなどの仕事に打ち込んでいた三好さん。海を見渡す逗子の町が気に入り、22年に夫婦で移り住んだ。

 23年3月ごろ、元交際相手の男から「殺してやる」とメールが届くようになり、不安を感じた三好さんは身を守るために手を尽くした。県警に被害届を出し、逗子市には男に住所が伝わらないよう支援を申請した。

 だが、警察と市のミスが重なった。同年6月、県警は脅迫容疑で男を逮捕する際、三好さんが明かさないよう頼んでいた結婚後の姓と住所の一部を読み上げた。県警は三好さん夫妻の抗議を受け、謝罪した。

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