赤字のお仕事

「仕事に手をつける」 「つける」の漢字はどう書く? 異字同訓と熟語の関係

 入社したての頃、机の上に「○○部に架電のこと」というメモが置いてありました。その時、「そうか、電話をかけることが架電か」と気づかされ、それ以来、出稿された原稿の中で「電話を掛ける」の表記に出合うと、ついつい、架電からの連想で「架ける」と赤字を入れたくなったという記憶があります。

 現在の産経新聞の用字用語集である「産経ハンドブック」では、異字同訓として【掛かる・掛ける】【懸かる・懸ける】の項目の用例と並んで、【架かる・架ける】の項目があり、「橋が架かる・電線を架ける」などが用例として挙げられています。そして[以下は慣用で平仮名書き]の項目に、「電話をかける」の用例がありました。

 改めて考えると、「架ける」は「電線を架ける」のように架設するといった「具体的にかけわたす」意味合いが大きく、紙面ではこの用法に当てはまらないものなどは、慣用化した平仮名書きにするルールがあります。当時の私の連想は、適切ではなかったことになります。

 「架電」がトラウマになったというわけではありませんが、このような熟語からの使い分けの連想は、ほかにもありました。

 「着席」「就職」から「席に着く」「職に就く」とするように、「着目」「着手」から「目を着ける」「(仕事に)手を着ける」と考えたのですが…。

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