青森・下北半島の太平洋岸に位置する六ケ所村は、国の石油備蓄基地や原子燃料サイクル施設、国際核融合エネルギー研究センターなど多様なエネルギー施設が集まった全国でも珍しい村です。その六ケ所村で最近、自然(再生可能)エネルギーの導入が加速しています。エネルギーの村のいまを探ります。
風力発電に恵まれた土地
六ケ所村は、石油危機直後に石油備蓄基地が造られ、その後、原子燃料サイクル施設が建設されたことで知られるようになりました。経済産業省資源エネルギー庁の「次世代エネルギーパーク」に指定され、エネルギー産業観光の拠点化を進めてきました。開発を担う新むつ小川原の代表取締役常務、岩間芳仁氏に六ケ所村のいまについてうかがいました。
「再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が2012年7月に始まる何年も前から、六ケ所村の広大な土地では、風力発電が推進されてきました。年間を通して安定した強い風が吹いて風況が良く、雷の被害もほとんどないため、風力発電に適しているためです。建設に有望とされた遊休地の所有者が新むつ小川原、1人だったため、土地利用の話が円滑だったことに加え、周辺のむつ小川原地区は、工業開発エリアで電線が整備され、風力発電の条件に恵まれていました」
風力日本一の青森県ですが、風力発電設備の約4割(2016年3月現在)は六ケ所村にあります。村内には、「むつ小川原ウィンドファーム」(1500キロワット×21基)、「六ケ所村風力発電所」(1500キロワット×20基)、「六ケ所村風力第二発電所」(1425キロワット×2基)、「二又風力発電所」(1500キロワット×34基)、「睦栄風力発電所」(2000キロワット×5基)、「吹越台地風力発電所」(2000キロワット×10基)の6つのウィンドファームが稼働し、合計92基、総発電設備能力14万5350キロワットの規模を誇ります。