東証1部上場企業の平成28年9月中間決算は、円高と新興国経済の低迷が響き、本業のもうけを示す営業利益が4年ぶりに減少した。
企業業績にブレーキがかかった格好だが、過度な悲観は禁物だ。減益決算とはいえ、利益水準は依然として高い。将来の成長を見据え、生産性向上を含めた事業構造改革の歩みを変わらず続けるべきである。
米大統領選でトランプ氏が勝利し、金融市場は乱高下している。だが、目先の相場に一喜一憂するより、円高でも利益を着実に生み出せる経営の構築こそが求められよう。
日本企業は過去に稼いだ利益によって、過去最高水準の内部留保を抱えている。これを積極的な賃上げや未来に向けた設備投資に回し、経済の好循環につなげていくことが肝要である。
日本を代表する輸出企業であるトヨタ自動車の中間決算は、営業利益が前年同期より約3割も減った。円相場が1ドル=105円と前年同期より10円以上も円高に振れ、利益水準を押し下げた。
鉄鋼業界ではJFEホールディングスが中間期で赤字に転落するなど、大手3社が厳しい決算となった。輸出企業だけでなく、内需関連でも訪日外国人の「爆買い」が一服したほか、節約志向の高まりなどで、百貨店を中心に小売業界の業績が悪化している。