文部科学省は8日、公立小中学校の教職員を10年後には約5万人削減可能とした財務省の試算に対し、「特別な支援が必要な子供が増えている現状を加味していない」との反論をまとめ公表した。
平成28年度の公立小中学校の教職員定数は約69万人。財務省は4日の財政制度等審議会分科会で、少子化に伴い、現在の教育水準を維持したままでも生徒数に応じた「基礎定数」と政策的に上乗せする「加配定数」を計約4万9千人減らせるとの試算を発表。教職員の負担軽減に向け、自治体や地元企業など外部人材と連携して、子供の支援に取り組むよう提案した。
これに対し文科省は、外国人児童・生徒への指導やいじめ問題など教育現場の課題に対応するには一定数の教職員が必要と主張。外部人材との連携については「法令上、免許を持たない人材が正規の教育課程を担うことはできない」と否定的な見解を示した。
松野博一文科相も8日の記者会見で「教職員を機械的に削減しても現在の教育環境を継続できるとの主張は、学校現場の実態を無視した根拠のない議論だ」と批判した。