人は死をほのめかされると、それが動機になって能力をより発揮できるという研究結果が発表された。研究はバスケットボールでのパフォーマンスを測定することで行われたが、スポーツだけでなく仕事などにも応用できる可能性があるという。
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バスケットボールの試合前に、「いずれは誰もが死を迎えること」をほのめかされた選手は、そうでない選手よりもシュートの成功率が高く、より多くの得点を稼いだ--これはスポーツ心理学の学術誌『Journal of Sport and Exercise Psychology』に掲載された研究結果である。
研究チームは、こうした死のほのめかしによる「激励」の効果は、「恐怖管理理論」(terror management theory)によるものだと仮説を立てている。この理論は、人間は「死の恐怖」に直面してそれに対処しようとする際に、自尊心や意義、不死を象徴するもの--そしてこの場合では優れたアスリートになること--を追求するというものだ。
「死をほのめかされると、その恐怖に対処する必要性が生じます。その結果、作業により熱心に取り組むことが多くの研究からわかっています」。研究論文の共同執筆者で、アリゾナ大学で心理学を研究するジェフ・グリーンバーグはニュースリリースでそう述べている。