産経抄

本物のアートではなかった 11月8日

 2年前のノーベル物理学賞に選ばれたのは、名城大終身教授の赤崎勇さん、名古屋大教授の天野浩さん、米カリフォルニア大教授の中村修二さんの3人だった。3人が開発した青色発光ダイオード(LED)のおかげで、照明にLEDが使えるようになった。寿命が長く、省エネ効果の高いLEDは今、急速に普及している。

 ▼東京・明治神宮外苑で開催されていたイベントで、6日夕に起きた火災の原因がわかってきた。ジャングルジムのような木製のオブジェから突然火の手が上がり、中で遊んでいた5歳の男児が亡くなった。

 ▼父親は他の来場者の力を借りて救い出そうとしたが、間に合わなかった。制作者側の日本工業大学によると、本来は照明として、LED電球だけを使用するはずだった。ところが学生らは当日、作業用に持ち込んでいた白熱電球のライトもオブジェ内で点灯させていた。

 ▼137年前にエジソンが発明した白熱電球は、LEDと違って高い熱を発生する。電源を入れて15分後に、白熱電球の温度が125度に達した。布団をかけると、2時間で焼け穴があいた。東京消防庁がこんな実験を行って、都民に注意を呼びかけたことがある。今回の火災も、白熱電球の熱によって、装飾としてオブジェにからみつかせていた木くずに、火が付いた可能性が高い。

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