大阪府が誘致を目指す2025(平成37)年国際博覧会(万博)に対し、関西財界が協力姿勢を打ち出した。これまで費用負担を懸念して及び腰だったが「気概」をみせるとまで言う。安倍晋三政権に外堀を埋められ、腰を上げたというのが実態のようだ。関係者は、憲法改正に絡む政治的な思惑が作用したとみている。財界の足並みは微妙にずれており、今後の議論で政権の意向に振り回される可能性がある。(牛島要平)
大臣が来るぞ!
「(世耕弘成)経済産業大臣が明日、大阪に来て、万博で協力するよう財界に要請するらしい」
10月20日午後、関西財界の関係者に情報が駆け巡った。経産省は、21日夜に大阪市内のホテルで世耕経産相と関西財界首脳の会食をセッティングした。
財界からは、関西経済連合会の森詳介会長(関西電力相談役)、大阪商工会議所の尾崎裕会頭(大阪ガス会長)、関西経済同友会代表幹事の蔭山秀一氏(三井住友銀行副会長)と鈴木博之氏(丸一鋼管会長)の4トップが出席する予定だった。
ある財界関係者は「経産省から誘ってきた。どんな話し合いになるのか」と気を揉んだ。だが21日午後2時7分、鳥取県中部で震度6弱の地震が発生し、世耕経産相は災害対応のため大阪出張を取りやめた。「3団体だけで集まる必要もない。今夜の会合はなしだ」と財界関係者は気が抜けたように話した。