浪速風

権威低下が「当確」の米大統領選

8年前、米国民はバラク・オバマ新大統領の誕生に沸いた。初の黒人大統領は「ケネディの再来」とも言われ、「かつてないような世界のリーダーになる可能性がある」と歓迎された。まもなく任期を終えるが、期待に応えられたかどうかはともかく、有権者が「チェンジ」に希望の一票を投じたのは確かだ。

▶今回は何を託すのだろう。クリントン、トランプ両候補は選挙戦の最終盤で、米国の、さらには世界の未来を語るより、相手を蹴落とすのに懸命だった。私用メール問題と、女性蔑視発言や性的嫌がらせの中傷合戦では、どちらが大統領にふさわしくないかを、消去法で選択するしかない。

▶このような選挙で選ばれた大統領に国民は尊厳を感じるだろうか。文豪スタインベックは「アメリカとアメリカ人」で「われわれは、ときに失敗し、道を誤る」と率直に認めた。「しかし、絶対にあと戻りはしなかった」。建国以来の大統領の権威も、そうであってほしい。