芸能考察

ビートルズの勝ち組はポールでなく…リンゴ・スター! 3年ぶり来日、見せた素晴らしき人生

大阪公演で熱唱する元ビートルズのリンゴ・スター=10月24日(渡邊一生撮影)
大阪公演で熱唱する元ビートルズのリンゴ・スター=10月24日(渡邊一生撮影)

 最近、個人的に驚いたのは、ビートルズのアルバム「ザ・ビートルズ(通称=ホワイト・アルバム)」(1968年)のオークションに関するニュースだった。

 ビートルズのファンの間では有名なのだが、このアルバムはジャケットの表の右下に通し番号が刻印されており、何と、その番号が「0000001」、つまり、一番初めに作られたアイテム(英国モノラル盤のファーストプレス)が昨年12月、米ビバリーヒルズでオークションにかけられ、何と79万ドル、日本円にして約8200万円で落札されたのだ。(昨年12月4日付米ビルボード誌電子版など)

 無論、アナログレコードの落札額としては過去最高だったのだが、それより驚いたのが、このアルバムの出品者が故ジョン・レノンや故ジョージ・ハリスンの遺族でも、ポール・マッカートニーでもオノ・ヨーコでもなく、リンゴ・スター(76)だったということだ。報道によると、リンゴはこのアルバムを英ロンドンの銀行の金庫室に約35年間、こっそり保管していたという。

 ポールや故ジョン・レノンや故ジョージ・ハリスンの目を盗んで、ちゃっかり自分のものにしたのだろうか?。オークションの収益の一部は夫妻が設立したチャリティー団体に寄付するというが、こうしたリンゴの世渡り上手感は、先頃行われた彼の3年ぶり4度目の来日公演でも存分に発揮されていた気がした。

 今回の来日ツアーの初日、10月24日、オリックス劇場(大阪市西区)でのステージを観たが、ロック音楽界を代表するスター演奏家たちとともに、飄々(ひょうひょう)とビートルズや自分の楽曲を披露する様に、思わず記者の顔もにやけてしまったのだった…。

 89年から名うてのミュージシャンらで成る自らのバンド(オール・スター・バンド)で世界ツアーを繰り返しているリンゴ。今回はTOTOのスティーヴ・ルカサー(ギター兼ボーカル)や、天才肌のマルチ・ミュージシャンの先駆けで知られる米大物シンガー・ソングライターのトッド・ラングレン、サンタナのバンドやジャーニーで活躍したグレッグ・ローリー(キーボード兼ボーカル)、そして80年代に大活躍したバンド、元Mr.ミスターのリチャード・ペイジ(b)らが参加。

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