加藤達也の虎穴に入らずんば

当事者感なき朴槿恵氏の「幽体離脱話法」

 「(政策を)国家の経済と国民生活に役立つと思って推進してきたのに、その過程で特定個人が利権を得て違法行為を犯していたと聞いて、とてもやるせなく悲しい」

 「個人的な縁を信じ(崔順実容疑者ら)周囲の人々に厳しくなれなくなっていた」

 朴氏は同じ談話の中で「過ちを痛感する」とも述べているのだが、談話の多くの部分から《だまされた。悪いのはあの人。聞いてびっくり》-という思いがにじみ出ていた。

 この日の談話ではもう一つ、目を引く話題があった。

 「私がカルト宗教にはまっているだとか青瓦台(大統領府)でカルト宗教の儀式を行っていたなどの噂も出ているが、これは事実ではない」と訴えたのだ。

 一国の大統領が何でまた、カルト宗教にはまっているなどという噂を流されるのか?

 人ごとながら聞いていて情けなくなった。数年前ならばネットに流しただけで検察や警察が発信源を捜査しかねない。だが韓国という国では、しばしば心霊的な問題が世間を騒がせることがある。

 2014年4月のセウォル号沈没事故で、船舶の所有会社の実質オーナーは宗教団体主宰者の男性だった。男性はかつて「人類は近く滅亡する」という世界観に基づいて信者を勧誘。系列の団体では運営者の男の下で生活していた信者多数が集団自殺する事件も起きていて、カルト的事件として注目された。

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