湯浅博の世界読解

ドゥテルテ旋風後の中国は南シナ海で「戦略的小休止」

さて、その結末はどうなるのか。日本から帰国途上の機内で、窓の外から「罵(ののし)りをやめないと、飛行機を落とす」という声が聞こえたとか。記者に「誰の声?」と聞かれて、ドゥテルテ氏は「神だ」と答えたとAP通信が報じた。

これを日米中大国ゲームの中で、うまく泳ぐ外交術と受け取るべきか、あるいはフィリピンの陽気な気まぐれ外交なのだろうか。

ときおり、フィリピンには規格外の人物が大統領になることがある。ベニグノ・アキノ大統領のような親日米派のエリート政治家が出るかと思えば、元俳優のエストラダ大統領が汚職で大規模デモに見舞われた。

さすがの中国も、今度ばかりは新政権の風向きを読みかねている。当面、ドゥテルテ旋風が吹いているうちは、中国も南シナ海での「戦略的小休止」を決め込んでいる。もちろん休止であって、また戻る。

ハーグの国際仲裁裁判所で、中国の「九段線」による南シナ海の独り占めが否定され、困った状況下でフィリピンの新政権が歩み寄ってきた。2国間交渉なら当面は投資案件などカネで片付く余地が出てきた。

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