■平和条約なら返還ない
菅義偉官房長官に先日、ロシアとの領土交渉では全千島列島の返還を求めるよう申し入れました。
第二次世界大戦では、連合国側の大原則は「領土不拡大」。千島列島は1875年の樺太・千島交換条約などで平和裏に日本の領土として画定しています。ところが旧ソ連は連合国の方針に反し、1945年2月のヤルタ会談で千島列島の移譲を求め、米英両国が応じました。これは領土不拡大という戦後処理の原則に明白に違反するものです。
この誤りをただすところから始めないと、道理ある領土交渉になりません。歯舞群島と色丹島は千島列島でなく、北海道の一部。サンフランシスコ講和条約で放棄した千島列島には入らないので、2島先行返還はあり得ます。その場合も、日露の国境線を画定することになる「平和条約」を結んではなりません。それでは国後、択捉両島ですら返ってこないでしょう。ロシアは覇権主義的な国ですから、生半可な姿勢じゃ交渉はできないと思いますよ。
(水内茂幸)