主張

朴大統領の窮地 日米韓連携に支障来すな

 韓国の朴槿恵大統領が友人の実業家女性への機密漏洩(ろうえい)疑惑をめぐり、求心力を失っている。支持率は10%台に急落し、退陣を求める市民団体などがソウルの目抜き通りを埋め尽くした。

 北朝鮮の核・ミサイルに対処するため、韓国は日米両国との連携を強めているさなかにある。日韓関係も徐々に改善へと向かっている。

 朴政権が弱体化すれば、外交・安全保障面への影響も避けられまい。その結果、日米韓連携などの流れが失速してしまうことに強い懸念を抱かざるを得ない。

 そうした事態を避けるためにも、朴氏は説明責任を尽くし、事態を乗り切ってもらいたい。

 旧知の友人は朴氏の相談相手だったが、南北軍事接触や対日関係などの情報を提供されていた疑いが持たれ、検察当局が事情を聴いている。

 朴氏の残り任期は1年4カ月を切った。再選のない韓国大統領は、政権末期が近づくと求心力が低下するとはいえ、現在の朴氏の危機的状況は際立っている。

 年内には東京で日中韓首脳会談の開催が予定されている。だが、今回の事態を受けて朴氏の出席は困難との見方が韓国側ですでに出ている。

 北朝鮮による核実験、弾道ミサイル発射などの挑発を受け、朴政権は対北強硬姿勢を強めた。開城工業団地の操業停止などは、日米と歩調を合わせて独自制裁として実施したものである。

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