2020年東京五輪の開催費用を検証する都の調査チームが、競技会場となる3施設の最終見直し案を小池百合子知事に示した。
いずれも複数案の提示だが、予算が膨らみ続けた巨額の整備費は縮小される見通しだ。これは、小池知事の就任に端を発する一連の検証の成果であると評価したい。
コストの削減はもちろん重要としても、安かろう悪かろうでは困る。招致の際に約束した「アスリート・ファースト(選手第一)」の理念を忘れてはならない。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が小池知事との会談で「開催都市として選ばれた後に競争のルールを変えないこと」と述べたのは、このことを指したものだろう。
調査チームの見直し案は、都、国、組織委員会、IOCによる4者協議の作業部会に提示され、今月末にも結論が出る。東京五輪の本番までは4年を切り、ここからはスピード感が必要だ。議論の停滞を防ぐためには戻るべき原点が必要で、それが「選手第一」の理念であるはずだ。
ボート、カヌー会場は「海の森水上競技場」の恒久か仮設の新設、宮城県の「長沼ボート場」の3案に絞った。水泳会場は現行の「五輪水泳センター」の客席数を計画通り2万とするか、1万5千に減らす2案を盛り込んだ。バレーボール会場は現行計画の「有明アリーナ」は五輪後のスポーツ大会の利用は収益的に厳しいなどとして、既設の「横浜アリーナ」を増席する案が併記された。