浪速風

男爵イモの味…実りの秋に被災地思う

実家からジャガイモが送られてきた。北海道の畑作・酪農地帯である十勝地方にある。「いつもより小さいな」と言うと、妻が「でも、おいしいわよ」。そうだった。夏の終わりから秋の初めにかけて、北海道、東北を立て続けに台風が襲った。親類の畑も収穫を前にして水に浸かったと聞いた。

▶ジャガイモは冷害に強い。飢饉(ききん)対策として江戸時代の後期から栽培が奨励され、明治政府は開拓民に種芋を配ったという。男爵・川田龍吉は函館ドックの経営のかたわら、英国留学で恋人と食べた味が忘れられずに、その品種を導入して機械化した大規模農場を始めた。「男爵イモ」である。

▶最大の産地の台風被害で、ポテトチップスなどスナック菓子の生産にも影響が出ている。タマネギなど他の野菜も痛手を受けた。元に戻るには何年もかかるそうだ。ほかにも今年は、熊本や鳥取の地震など自然災害が相次いだ。実りの秋に被災地を思い、「肉ジャガ」をかみしめた。