「犯行の前後の状況から見て、事件時に解離性同一障害(いわゆる多重人格)に伴う別人格が現れたことは疑わしい。別人格による犯行という主張は嘘なのではないかと思う」
「声優のアイコ」を名乗り、睡眠薬入りの酒を男性に飲ませ金品を奪ったとして、5件の昏睡(こんすい)強盗罪などに問われた東京都杉並区の無職、神いっき被告(32)。31日に東京地裁(石井俊和裁判長)で開かれた公判では、神被告の精神鑑定を行った精神科医が検察側の証人として出廷し、そう自身の見解を述べた。
この日、神被告は首を覆うくらいの髪の一部を後ろで束ねて出廷。服装は赤い長袖シャツを着て、白っぽいズボンをはいていた。戸籍上は女性ながら、性同一性障害を抱えているとされ、乳房を除去して男性として生活してきたという神被告にしては女性らしい姿に見えた。
犯行時、神被告は女装し、化粧した上で街に繰り出すなどしていた。ナンパしてきた男性に睡眠薬入りの酒を飲ませ、意識を朦朧(もうろう)とさせた上で財布や高級腕時計など金品を奪う犯行を繰り返していたとされる。