昨年実施された国勢調査で、日本の総人口は5年前の前回調査に比べ約96万3千人減少した。
大正9年の調査開始以来、約100年で初の減少である。
高齢化も進み、総人口の8人に1人が75歳以上だ。働く世代は急減しており、このままでは社会が立ち行かなくなる。
とりわけ出産可能な年齢の女性の人口が減るため、流れを断ちきるのは簡単でない。対策として「外国人に頼るべきだ」との意見もあるが、今後25年で約2千万人減ると推計されており、すべてを穴埋めするのは無理がある。
人口減少を前提に、それに耐え得る社会への転換が急がれる。
国会議員や自治体関係者の間では、大型公共工事の実施など人口が増えていた時代の発想から抜けきれていない人が少なくない。
だが、いま求められているのは効率的な国造りである。人口が減っても機能する仕組みを構築するということだ。
もとより、国としての豊かさを持続するには経済成長が不可欠だ。まず考えたいのは、労働力人口の減少をカバーする方策だ。
女性や高齢者など働き手の確保策は当然のこと、技術革新や働き方改革で生産性を上げ、労働者一人一人の国内総生産(GDP)を増やすことが重要である。
安倍晋三政権には、大胆な規制緩和や海外からの投資の呼び込み、産業の重点化など思い切った政策を期待したい。