浪速風

レガシーはお金ではない

今年の流行語大賞は「レガシー(遺産)」も有力候補のようだ。建設費の増大から計画が見直されている2020年東京五輪の水泳、バレーボール、ボート会場も、レガシーが論点になってきた。すなわちコスト削減ばかり考えず、五輪にふさわしい施設を整備して未来に残すべきだと。

▶エッフェル塔は1889年のパリ万博のレガシーである。高さ320メートルの巨大な鉄塔は人々を驚かせたが、パリの景観を壊すと賛否が分かれた。「女の一生」で知られる文豪モーパッサンが「いまいましいエッフェル塔を見なくてすむ唯一の場所」と、塔内にあるレストランに通ったのは有名だ。

▶1970年大阪万博の太陽の塔は、異形の芸術が論議を呼んだが、万博史上に残る大成功を収めたことでレガシーになった。お金をかけて立派な建物を造ればレガシーになるわけではない。盛り上がってこそである。2025年に誘致をめざす再びの大阪万博も同様。「負の遺産」はごめんだ。

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