米国で100基目となる新たな原発が運転を開始した。
テネシー州のワッツバー原子力発電所2号機(出力115万キロワット・加圧水型)だ。新設原発の稼働は20年ぶりのことである。
シェールガスの登場で米国では火力発電の競争力が増しているにもかかわらず、原発が完成して電力供給を開始した点に注目したい。
その背景には、二酸化炭素を排出しない安定した大規模電源としての原発への期待の高さがある。米国ではワッツバー2号に続いて、2019〜20年の運転開始を目指す4基の原発の建設が進んでいるのだ。
1979年に起きたスリーマイル島原発事故で生じた原発への不信感からの回復であり、原発積極活用への回帰である。
翻って日本を見れば、最多時には55基を数えた原発が福島事故を境に廃炉が相次ぎ、今では42基に減っている。
しかも、現在発電しているのは九州電力と四国電力の原発2基のみだ。原子力規制委員会の安全審査に合格していた関西電力の2基は、司法判断の仮処分で停止に追い込まれたままになっている。
建設中だった電源開発の大間原発(青森県)は、福島事故以来、ほとんど工事が進んでいない。