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笑い合いたい声が聞きたい抱きしめ過ごしたい-。大阪府東大阪市在住のシンガー・ソングライター、山口采希(あやき)さん(25)が、北朝鮮による拉致問題の解決を願う新曲「願いの色、灯りをともせば」を制作した。平成26年に発売した「空と海の向こう」に続く曲で、被害者家族の思いをよりストレートにつづった。「私の歌でなく、解決を願うすべての人の歌として全国に広まってほしい」と話している。(大森貴弘)
10月8日、大阪市の中央区民センター。拉致被害者の救出を訴える集会で、山口さんは壇上に立った。
「大切な家族と30年以上も引き離されたままの拉致被害者家族。その悲しみに少しでも寄り添うことが、私たちにできることではないでしょうか。そんな思いを込めて、新曲を作りました」
こう語りかけると、愁いを帯びた表情で歌い始めた。透明感あふれる歌声。約500人が詰めかけた会場は一瞬で静まり返り、曲が終わると大きな拍手がわき起こった。
新曲は今年初めから作り始めた。「誰もが歌いやすく、全国の集会で合唱してもらいたい」との思いを込め、メロディーを追いやすい簡単な曲調を心がけた。
苦労したのは歌詞だ。親しみやすいよう、あえて「拉致」などの言葉を使わなかった。その上で、客観性を保とうとしたが、うまくいかなかった。
「歌詞を紡いでいくと、何十年も引き裂かれたままの被害者家族が心に浮かび、どんどん感情移入してしまって…」