【産経抄】ドラマが実で急死は虚? 10月25日(1/2ページ) - 産経ニュース

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産経抄

ドラマが実で急死は虚? 10月25日

 今年5月に80歳で亡くなった世界的な演出家、蜷川幸雄さんはもともと俳優だった。平幹二朗さんは、共演者として知り合う。平さんが主演の刑事ドラマで、蜷川さんは犯人役だった。「蜷川さんの芝居に出させてよ」。昼休みに声をかけたのが始まりだ。

 ▼蜷川演出作品のなかでも、平さんの代表作といえるのが、嫉妬(しっと)に狂う王女を演じた『王女メディア』である。大きく突き出た乳房をあしらった奇抜な衣装は、観客の度肝を抜いたものだ。蜷川さんは昭和62年、平さんが主役を務める『王女メディア』と『マクベス』をひっさげて、演劇の本場ロンドンに乗り込もうとした。

 ▼ところが平さんが病に倒れ、代役を余儀なくされる。平さんが、実は肺がんだったことを告げなかったために、わだかまりが残ってしまった。蜷川さんが事実を知ってコンビが復活したのは、10年後である。『王女メディア』も再演された。

 ▼平成14年に上演された舞台『鹿鳴館』も、復縁が話題を呼んだ。平さんと18年前に離婚した女優の佐久間良子さんの27年ぶりの共演が実現したのだ。二人の息子、岳大(たけひろ)さんの俳優デビューの舞台でもあった。1人暮らしの平さんと連絡が取れなくなり、東京都内の自宅を訪ねて、浴槽で倒れている平さんを見つけたのは、岳大さんである。