山梨県庁は「居心地いいニャン」 ファンの餌やり止まらず - 産経ニュース

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山梨県庁は「居心地いいニャン」 ファンの餌やり止まらず

 「猫ブーム」が続いているが、県内では甲府市の県庁に多くの野良猫が集まり、猫好きの間で話題となっている。「平和通り」に面した県議会議事堂前の一角では、足を止めて撮影したり、餌を与えたりする人もいる。施設を管理する県は「芝生や植木を荒らされる」と困惑し、来庁者に餌を与えないよう呼びかけているものの、改善される様子はない。そんな騒ぎもどこ吹く風。猫たちは、県が今春オープンした議事堂横の中庭の芝生にも侵入。日々のんびりと過ごしている。

 ◆「すごくかわいい…」

 県庁内を拠点とする猫は数多く、一度に10匹以上が確認できる時間帯もある。周辺の人に聞くと「ここ1、2年で急に増えた」という。猫が最も多く見かけられるのは、平和通りから県庁や議事堂に向かう入り口の一角。餌を与える一部の人に反応して、集まるようになったとみられる。白、黒、三毛…。さまざまな猫が気ままに過ごす光景と、背後に建つ議事堂のギャップはユーモラスな感じもあり、足を止める人の姿も目立つ。大学生の女性は「こんな所に多くいるなんて。すごくかわいい」と猫たちにカメラを向けた。

 近くで果物店を営む女性(62)は、「猫たちは人気者。電車通勤の途中に毎日訪ねるという熱心なファンもいる。まちの好感度アップにも貢献しているのでは」と話す。

 猫の居場所は、県庁内にも広がっている。

 県は、県庁内を「オープンガーデンやまなし」として整備し、4月から一般開放している。このうち、周囲をきれいに植栽し、芝生を敷き詰めた内庭にも猫たちが集まっている。

 JR甲府駅から中心市街地へと、県民や観光客を誘導したい県だが、一般県民の認知度は今ひとつ。対照的に、芝生でのんびり寝転ぶ野良猫にとって、オープンガーデンは誰にも邪魔されない楽園となっているようだ。ベンチで食事中におにぎりなどを与える人もいるという。

 ◆飲食店から苦情も

 こうした状況に県庁は困惑している。庁舎管理を担当する財産管理課は「芝生や植木を荒らすし、糞尿(ふんにょう)の問題もあり、県庁のオープン化の妨げになる。早くいなくなってほしいというのが本音」と話す。去勢手術をしていない野良猫の繁殖や近隣の飲食店からの苦情も深刻な問題だという。

 野良犬に関しては、狂犬病予防法で行政に係留(くさりなどでつなぐ)義務があるが、野良猫にはない。このため、県も「行政の権限で捕まえられない」(衛生薬務課)という。このため、県は4月、議事堂前に「エサを与えないで」という張り紙を掲げた。餌を与えるなら、飼い主として責任を持って育ててほしいというわけだ。だが、餌やりは半年後の今も続いている。県は現場を見つけたら、口頭でも注意したいとしている。

 ◆厳しい共同管理案

 猫の繁殖を防ぐため、不妊・去勢手術の補助金を支給する自治体もある。甲府市では昨年、飼い猫だけでなく、市内に生息する野良猫も対象に、1件につき不妊手術で6千円、去勢手術も4千円の助成金を支払う制度を導入した。野良猫の場合は、日常的に餌を与えている人が「猫愛護者」の届け出を行い、対象の猫を写真を添えて特定する必要がある。ただ、この制度を県庁内の野良猫に活用するのは容易ではない。通りすがりに餌やりをする人も多く、申請する「猫愛護者」の特定も難しい。

 県衛生薬務課の動物愛護の担当者は「餌をあげている人と話し合い、県が共同で管理するのも一つの手段ではあるのだが…」と言葉を濁す。「県庁内の意思決定や費用のほか、誰が責任者になり、糞尿の処理などをするのかなど、合意やルールづくりは簡単ではない」とも指摘する。果たして、県庁のアイドルと認められる日は来るのか。黙認でも排除でもない柔軟な発想も問われそうだ。