【シンガポール=吉村英輝】フィリピンのドゥテルテ大統領が25日、6月末の就任後初めて日本を訪問する。先の訪中では、同盟国の米国と「決別する」と述べるなど反米感情をあらわにする一方、南シナ海の領有権問題では「棚上げ」に応じ、対中傾斜を鮮明にした。一方、ドゥテルテ氏は親日家として知られる。アキノ前政権同様、経済や安全保障での日本との協力関係が推進されるか注目される。
「もっと敬意を払うべきだ」。ドゥテルテ氏は22日、訪中から帰国後の会見で、9月上旬のオバマ大統領の対応に改めて怒りを爆発させた。容疑者殺害も辞さない「麻薬撲滅戦争」の人権状況も議題にするとしていたオバマ氏に対し暴言を吐き、初の首脳会談は中止に。関係修復は絶望的な状況だ。
オバマ氏批判は、米国への離反を正当化するための口実にも聞こえる。米紙ウォールストリート・ジャーナルは24日、ドゥテルテ氏の愛国心が、「左翼寄りのフィリピン人に見られる共通の感情を反映している」と指摘した。