産経抄

ボブ・ディランの謎 10月24日

 フランスの数学者、ポアンカレが1904年に提言した、宇宙の形に関する「ポアンカレ予想」は、世界中の学者の挑戦を退けてきた。この「100年の難問」を見事解決したのが、ロシアの数学者、グリゴリー・ペレルマンさんである。

 ▼もっともペレルマンさんは、その偉大な業績以上に、変人ぶりが有名となってしまった。2006年には、数学界のノーベル賞といわれるフィールズ賞を辞退する。70年を超える賞の歴史で初めての珍事だった。どうも人前に出るのが、何より嫌いらしい。

 ▼米国の数学研究所が「ポアンカレ予想」にかけていた、賞金、100万ドル(当時約9000万円)の受け取りさえも拒否している。故郷のサンクトペテルブルクで、母親とひっそり暮らしているそうだ。

 ▼今年のノーベル文学賞は、米国の歌手、ボブ・ディランさんの受賞で大いに盛り上がった。歌詞の芸術的価値について、論争も引き起こした。ところが、当の本人は沈黙を続けたままである。「無礼で傲慢だ」。業を煮やした選考委員がスウェーデンのテレビで、とうとう怒りをぶちまけた。