文科省の調査で未納の原因を尋ねたところ、「保護者の責任感や規範意識」と回答した学校は61・3%に上り、「経済的な問題」の33・9%を大きく上回った。
一方で、管理制度の問題も一因にあるとみられる。
全国の小中学校の7割近くが採用している学校ごとの独立会計(私会計)では、滞納の保護者との折衝は担任や教頭、校長ら学校現場が主体。通常業務に加えて家庭訪問で督促を行うなどの負担が大きい上、法的措置など強い対応に乗り出しにくい。このため自治体として給食費を一括管理する「公会計」に切り替える動きも出ている。
大阪市教委は26年度に公会計に変更し、事務局職員が滞納への対応に主体的にあたるようになった。「学校現場の負担を減らすことができ、滞納者への対応も明確に行えるようになった」(担当者)。しかし教職員の負担は皆無ではなく、職員からの働きかけでも徴収に限界はある。
大阪市に先行して、昨年度から弁護士への委託を本格導入している東京都練馬区によると、導入前の25年度1年間で約260万円に上った給食費未納額は、27年度では半分以下の約120万円に減少した。弁護士からの督促で分割納付に応じたり、短期の未納にとどまるケースが増えているという。