政策を問う 配偶者控除

子育て、介護にこそ控除を 東京大学社会科学研究所准教授・近藤絢子氏

インタビューに答える東大社会科学研究所の近藤絢子准教授=東京都文京区(松本健吾撮影)
インタビューに答える東大社会科学研究所の近藤絢子准教授=東京都文京区(松本健吾撮影)

 昭和36年にできた配偶者控除が、50年以上たってもそのままになっているのが問題の根本だ。なぜ、妻に控除を付けなければならないのか、そこから考えた方がいいと思う。昔の日本は女性が働ける機会が限られていたので、控除が必要だったかもしれない。だが、今は女性でも働いて自活ができる時代だ。

 現行制度を意識して女性が就労調整をすると、年末の繁忙期に人手不足が顕著になるなど、労働市場に非常に強いゆがみを与える。さらに、就業調整する女性を見て育った女の子が、自分も扶養の範囲内で働ければ十分と思って人的資本に投資しなくなってしまったりすれば、回り回って女性の社会進出にも悪影響が出たりする。

 配偶者控除の適用を受ける妻の年収を103万円以下から引き上げても、健康保険料や国民年金保険料負担が生じる年収130万円(一定の条件を満たすと106万円)の壁がある。労働力不足を多少緩和する効果はなくはないが、就労調整の壁が存在し続けることに変わりはないと思う。

 また、貧困問題が取り沙汰されているシングルマザーの人たちは、この手の恩恵を一切受けられない。子供を抱えているのでできる仕事も限られ、年収が少ない中でやりくりを強いられている。現在、女性が働けない大きな理由は子育てと介護だ。ならば、婚姻状態にかかわらず、子供や要介護者を抱える世帯に対して、直接控除や手当てをつけて支えるべきだ。

【プロフィル】近藤絢子

 こんどう・あやこ 東大経済卒。コロンビア大博士。平成21年大阪大講師。法政大准教授、横浜国大准教授を経て、28年から現職。専門は労働経済学。37歳。東京都生まれ。