書評

作家・畑中章宏が読む『人狼知能 だます・見破る・説得する人工知能』鳥海不二夫他著 人工知能にだまされるとき

『人狼知能 だます・見破る・説得する人工知能』鳥海不二夫他著(森北出版・2400円+税)
『人狼知能 だます・見破る・説得する人工知能』鳥海不二夫他著(森北出版・2400円+税)

 「人狼ゲーム」というコミュニケーション型ゲームがある。プレーヤーは「村人」サイドと「人狼」サイドに分かれて、10人ほどでテーブルを囲んで行う対面型や、チャットやBBSを用いたオンライン型などの形式で対戦する。ゲームは次のような物語設定をもとにして進められる。

 ある村に「人狼」が紛れ込んでいる。人間になりすましているため誰がそうなのかはわからないが、夜になると人間を1人ずつ食べてしまう。村人たちは話し合って、人狼と思われるものを1人ずつ追放する…。ゲームでは「占い師」「霊媒師」「狩人」「裏切り者」といった役職があり、人間と人狼が知恵を絞り合って、構成員の数を競う。

 人狼ゲームの歴史は古く、ヨーロッパで遊ばれていたゲームがもとになったという。人間に化けた狼が人を襲うというストーリーは、ファンタジーに属する。代表的なものは童話の「赤ずきん」だ。森に潜む狼の恐怖にさらされてきた人々にとって、このゲームはなじみやすかったに違いない。日本でも、数年前から盛んにプレーされるようになった。ゲームを実演するテレビ番組が放映され、新卒採用の面接に人狼ゲームを導入した企業もあるという。