編集局から

中国側公式戦史集にも「南京大虐殺」の記述なし

 日中戦争の中国側公式戦史集である『抗日戦争正面戦場』(1987年第1版)の分析を静岡県立大の高木桂蔵名誉教授、ノンフィクション作家の河添恵子氏と始めたのは夏前からでした。中国の「南京大虐殺」に関する文書が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(記憶遺産)に登録されたことを受け、中国側の資料を調べている一環でした。なかでも日本軍による南京攻略前後は丁寧に読みました。

 「相互に撃ち合うこともあった」「船の用意がなく、やむなく筏(いかだ)にしたが溺死するものが多かった」などと、「そのどこにも『南京虐殺』は出てこないばかりか、撤退する中国軍の惨状が描かれている」(高木氏)のでした。

 「南京」文書はいまだにアクセスが認められていません。日本政府は閲覧が認められれば調査することを検討していますが、私たちもさらに追及を続けます。(編集局総務 有元隆志)

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