国会の職責を果たしていないありようを、国民に対して恥じる気は与野党ともにないようだ。
衆院憲法審査会は1年以上にわたり機能を停止していたが、実質的な審査の開始がさらに11月にずれ込むという。今国会で改正項目の絞り込みに本格着手できるかどうかは極めて疑わしい。
自民党をはじめ、憲法改正を掲げる政党は、まず憲法のどの点を改めたいかの考えを国民に率直に示し、論議をリードする責任を果たすべきである。
衆参の憲法審査会は、主権者である国民に憲法改正の発議をするかどうかを決める衆参本会議に対し、改正原案を提示する極めて大きな役割を負っている。
常設の審査会が機能を停止するのは、国民投票という重要な主権行使を封じ込めていたことになる。改正条項を有する憲法の要請を、各党の都合で否定してきたことにほかならない。
他の法案をめぐる政治的対立や政局上の思惑、国政選挙の有無などにかかわらず、与野党が審査会での憲法論議を継続することこそ重要である。
衆院審査会の開催が先送りとなったのは、参考人質疑のテーマに「立憲主義」を含めるよう民進党が求め、そのことに連立与党の公明党が難色を示し、自民党の対応が混乱したからだという。