韓国や中国から仕掛けられてきた「歴史戦」で、日本側にようやく反撃の機運が生じている。そう強く感じるニュースだった。韓国・水原市の働きかけでドイツ・フライブルク市が進めていた慰安婦像の設置計画が9月、フライブルク市の姉妹都市である松山市の抗議によって中止された。水原市の友好都市である福井市も、慰安婦像問題をきっかけに、市長の水原市訪問を取りやめた。
◆欧州に拡散寸前だった
歴史戦では、豪ストラスフィールド市で民間グループが慰安婦像の設置を食い止めた例はあったが、あとは「やられっぱなし」の感が強かった。毅然(きぜん)とモノ申した松山市や福井市の姿勢に喝采を送った読者も多いだろう。
そもそも「南京大虐殺」「慰安婦20万人強制連行」といった日本軍や日本へのいわれなき批判に先頭に立って反論すべき外務省が及び腰で、一部の識者や民間有志だけが声を上げてきたのが実情だ。公的機関である自治体が加われば、反撃は強化されることを両市は実証したといえる。
フライブルク市での慰安婦像設置は今年5月、水原市の廉泰英市長が姉妹提携をしたばかりのフライブルクの市長に提案。国連の世界人権デーである今年12月10日に市中心部の公園に像を共同設置することで合意していた。韓国外での慰安婦像はこれまで米(2カ所)・加・豪の計4カ所にあり、ドイツに設置されると欧州では初の像になるところだった。