大阪府河内長野市のダム湖で5月、6人乗りのワゴン車が転落して建設会社の男性従業員5人が死亡した事故で、一時は危篤状態になりながらも唯一生き残った男が10月初め、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の疑いで大阪府警に逮捕された。ワゴン車を運転していた男の血液から眠気を催す作用のある精神安定剤の成分が検出され、府警は男が精神安定剤を服用したのにハンドルを握ったとみて調べている。ただ、男に持病や通院歴は確認されておらず、「精神安定剤を飲んで運転した覚えはない」と容疑を否認。事故直前まで一緒にバーベキューを楽しんでいた同僚たちも「おかしい言動はなかった」と首をかしげる。真相解明に向けた捜査の行方が注目される。
もうろう状態で運転
府警などによると、事故は5月29日午後2時35分ごろ、大阪府河内長野市の滝畑ダム西側の府道で起きた。ワゴン車に乗っていたのは大阪市天王寺区の建設会社の男性従業員6人。現場から約2キロ離れたキャンプ場で社内行事のバーベキューを終えた帰路で、ハンドルを握ったのが、後に逮捕される男(27)だった。
右手にダム湖を見ながら走っていたときに異変は起きた。車は緩い右カーブの中央線をまたぎ、すぐに元の車線に戻ったものの、直後に対向車線側の歩道に乗り上げ、約15メートルにわたって鉄製フェンスをなぎ倒して転落した。ブレーキ痕がないことから、男は少なくとも意識がもうろうとした状態で運転していたとみられる。