IT研究者、技術者が集まる米国は、ハッキングでも高度な知識、経験が蓄積されている。通信機能のある車がサイバー犯罪者に乗っ取られる事件が、いつ起きても不思議ではない。最悪の場合、事故に至るだけでなく、自動運転車がテロリストの新たな道具になりかねない。
ソフトバンクの子会社「SBドライブ」(東京)は、無人の路線バスが客と自動的に対話できるアプリなどを開発している。アプリはネットを経由した操作を想定しており、同社は「開発と同時にセキュリティー対策を立てなければならない」(広報担当者)と打ち明ける。
各社が究極の目標とする「完全」自動運転を実現する上では、ネットを介して最新の道路の渋滞情報や地図などさまざまなデータを受信することが想定されている。サイバー攻撃を完全に防ぐのは不可能だろう。
責任は誰がとる?
問題はハッキングだけではない。AIの判断ミスなどで事故が起こる可能性もある。実際、今年5月に米フロリダ州で米テスラの電気自動車(EV)が「オートパイロット」(自動運転)モードで走行中に死亡事故を起こした。衝突の危険をうまく認識できなかったためとされる。