数少ない船を奪い合った末の同士打ちや多くの溺死者があったことが中国側の公式資料から分かる。日本軍による「大虐殺」があったとの記述は一切ない。静岡県立大名誉教授の高木桂蔵はこう指摘する。
「中国共産党政権側の南京にある中国第二歴史●案館が出した公文書であるにもかかわらず、そのどこにも『南京虐殺』は出てこないばかりか、撤退する中国軍の惨状が描かれている。『南京』をめぐる中国共産党のデマとプロパガンダを示すものだ」
番組を手がけた日本テレビ記者の清水潔は、8月に出版した『「南京事件」を調査せよ』(文芸春秋)で、写真は「戦時中にある日本人が中国で入手したというものだ」と説明した。
だが、この写真は昭和63年12月12日、毎日新聞(夕刊、大阪版)がすでに掲載していた。読者の提供写真だったという。
記事は「南京大虐殺、証拠の写真」との見出しで南京留学中の日本人学生が写真の背景と同じ山並みを現地で確認したとした。
ただ、記事は被写体が中国側の記録に残されているような同士打ちや溺死、戦死した中国兵である可能性には一切触れず、「大虐殺」の写真と報道した。NNNの番組も中国側の記録に触れていない。