智仁氏が退室し二人きりになると、三枝子氏は窪田社長に向かって「あなたは会社にも残らせない」「(久実氏が)亡くなって49日の間もお線香を上げにも来ない」「9月14日の久実のお別れ会には出ないでもらいたい」などと、30分にわたり詰問したというのだ。
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双方の確執は、定食店「大戸屋ごはん処」を展開する同社の事実上の創業者で、会長だった久実氏が昨年7月に急逝したことがきっかけだ。
三枝子氏と智仁氏は計18%超の株式を久実氏から相続。久実氏は将来的には智仁氏の社長就任を望んでいたとされ、窪田社長を含む周囲もその意向を理解していたという。
しかし、早期の社長就任にこだわりを見せた智仁氏に対し、窪田氏が香港赴任を内示したことなどが反発を招き、内紛に至った。久実氏への功労金の不払いや智仁氏の常務から平取への降格、久実氏が注力した事業を「負の遺産」などとして会社側が整理する方向で進めたことなども、創業家側が不信感を募らせた原因とみられる。
対立は株主総会に会社側が提案する人事案に5月、創業家が反対の意向を示したことで表面化。実際に6月に開催された株主総会では、会社側の提案に創業家は反対した。