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世界市場の制覇を目指す日本の食品メーカー

同じく日本の大手食品メーカーで、品質に注力しているのがおよそ100年の歴史を持つキユーピーだ。同社の三宅峰三郎社長によると、1910年代に交換留学生として米国へ渡った創業者の中島董一郎は、ポテトサラダを食べて価格の安さと高い栄養価が両立していることに驚いたそうだ。このまったく無意識に踏み出された先駆的な第一歩をきっかけとしてたどり着いたのが、同社の看板製品であるマヨネーズ(日本人の好みに合うよう、外国産の2倍の卵黄を使用した)の製造だ。現在の同社はこれに加え、ロジスティクスなど5つの事業分野でビジネスを展開している。

キユーピーは「道義を重んずること」、「創意工夫に努めること」、「親を大切にすること」を社訓に据えている。三宅社長は、この3つが同社を日本や世界で独自な存在としている理念であり、信条だとし、「私たちは安全性と信頼性が最も重要だと考えている。質の高い製品は質の高い原材料からしかつくれない。さらにキユーピーは、それぞれの国の食文化や環境に貢献することも目指している」と述べた。

三宅社長によると、キユーピーの海外戦略は優位性と革新性を重視している。同社長は「欧州や米国の市場では、差別化が鍵になる。主力製品は卵黄をふんだんに使ったマヨネーズと、深煎り胡麻ドレッシングだ」と説明した。育児用製品もこの50年間、キユーピーの主要な稼ぎ手の役割を担ってきた。同社長は、ベビーフード事業で培った専門性は、全体の品質管理プロセスの改善に役立ってきたとし、「私たちには冷凍食品やチルド食品、常温保存食品を開発する能力と生産システムがある。これらの技術を高齢化社会ビジネスに生かすことは容易だと考えている」と語った。

キユーピーは、品質の高さと顧客重視の姿勢で現在の評判を築いてきた。従って、米カリフォルニアに工場を所有してブランド構築に取り組んでいる北米市場においても、必要に応じてこれまでにいくつかの調整を行っている。米国で生産するドレッシング製品を例にとると、グルタミン酸ナトリウムを成分から外し、栄養素やアレルギー、ブランド情報に細心の注意を払っている。三宅社長は、北米では遺伝子組み換えでない食品やオーガニック食品を扱う店舗を相手に事業を行ってきたとし、「深煎り胡麻ドレッシングに使用する原材料は、遺伝子組み換えでなく、オーガニックなものであるよう徹底した。この方法でなら、さまざまなドレッシング製品で自社を差別化することができる。私たちは、グレードの高い製品を提供していると自認している」と述べた。

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