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世界市場の制覇を目指す日本の食品メーカー

日本の食品・飲料ブランドは、トレードマークともいえる品質へのこだわりによって、米国市場でより確固とした足場を築こうと狙いを定めている。

日本独自の健康的で独創的な料理や、国内で楽しめる料理の幅の広さについては、改めて紹介するまでもないだろう。実際、和食は昨年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録された。特に水産物は評価が高く、この分野の市場としては世界最大規模の東京の卸売市場、築地市場では驚くほど豊かな海の幸が供給されている。

築地市場で販売される400種類の水産物はイワシから鯨まで大きさもさまざまで、合計の重さは70万トン超、金額に換算するとおよそ1兆4000億円に達する。これらの水産物は築地と、神田と江東にあるもう2つの東京の主要市場でも取り扱っている。日本の消費者の好みが肉へと変化するなかで国内の水産物の消費量は減少しているものの、世界(主に香港やアメリカ、中国など)に向けた水産物の輸出量は増加しており、2013年の輸出高は合計2兆1000億ドルと前年比で11%増加した。

1942年に国が統制する経済の下で国民に水産物を供給するために設立されたニチレイは、現在では水産食品の大手となっている。世界に80以上の子会社や関連企業があり、最低でも年に1000億円の売上を生み出す目標を掲げている。内訳は欧州で300億円、北米で300億円、タイ、中国、その他のアジアの国々で200億円だ。

ニチレイの大谷邦夫社長は「今後の成功の鍵が社会の動向を掴み、従来の物事の進め方から新しいビジネスモデルへと躊躇なくシフトすることだと考えている」と述べ、ニチレイは魚の冷凍と保管からスタートし、加工食品や食肉、鶏肉、水産物、冷凍食品の流通、バイオサイエンスにいたるまで、事業を拡大してきたと指摘。現在、投資資金として留保している726億円は、同社の強みである食品加工と流通分野に集中的に投じる予定だと明かした。

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