政経懇談会は20年、当時の長野商工会議所会頭だった長野市の加藤久雄市長が提案し、実現した。地域経済は混迷しており、県を牽引(けんいん)する両市がいがみ合うのではなく手を携えていこう-というのがその趣旨だった。
政経懇談会は毎年回を重ね、広域観光を中心に意見交換し、連携の素地づくりに取り組んできた。
「少子高齢化の中で地域が活性化し、人が交流することで新しい施策が見えてくる」
井上会頭がそう強調する成果は、善光寺御開帳前年の26年からの札幌、福岡へのキャラバン隊への参加に始まる。
松本商工会議所は27年度、奉賛会が開設したJR長野駅構内の観光案内所で土日や祝日を中心に松本城などの観光PRを初めて行ったほか、善光寺と松本城を結ぶ直通バスチケットを販売した。
松本城観覧料と高速バス運賃の総計1710円相当を1千円で提供し、2467人が利用した。
同商工会議所は「告知不足で利用者は思ったよりも伸びなかったが、観光客が訪れたいと思う2カ所をめぐるモデルコースへの認知が進み、広報効果はあった」と評価する。